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行政調査新聞社 社主:松本州弘 埼玉県川越市
行政調査新聞社 国内展望 2008年6月 社主:松本州弘

開いた口が塞がらない!“血税浪費!”
官僚が日本を食い潰そうとしている!
滅びゆく日本を救うには、『霞が関解体』しかない!


財務省などの職員たちが帰宅する深夜タクシーは、「居酒屋タクシー」と呼ばれ、自宅に帰る車内では、おつまみ付きでビールや日本酒の接待がされていたという。なかには運転手から、商品券や現金をもらっていた職員たちもいたと報道された。以前には、役人たちがゴルフボールを購入していた話も明らかにされたが、霞が関の役人、官僚たちの仰天の浪費ぶりはこれどころではないのだ。


血税不正流用者を「牢屋に入れろ!」

私たちが支払った携帯電話の代金が、役人の家族旅行のレクレーション代に化けているなどと聞いたら、流石にムッとするだろう。だがこれは嘘でも作り話でもない。

先には、「道路特定財源」で運転手つきの車を乗り回していた国土交通省の役人や、「年金保険料」でゴルフ練習場を建築したり、カラオケセットやマッサージ器を買った社会保険庁のことも話題になったが、総務省では「電波利用料」を、国交省や社保庁同様に遊興費などにつぎ込んでいることが明かになった。

携帯電話会社や放送局から総務省が徴収しているのが「電波利用料」。そのカネを総務省の役人たちが勝手にムダ遣いしているという事実は、民主党の寺田学氏が総務省に問い合わせた結果として明らかにされたものなのだが、その内容を見ると、呆れ返ってしまう。たとえば、

映画鑑賞券 (3,747円)
陶芸体験代 (7,265円)
ボウリング代金 (15,000円)
レクレーション用チケット購入代 (261,324円)
ギフトカード代金 (160,000円)
空気清浄機購入費 (161,100円)
寺田氏(前述・民主党)によると、上記の「不正流用の疑い」は、総務省の出先機関である総合通信局(日本全国に11カ所)だけで約300件、総額4,000万円もあるという。霞が関にある総務省本省では、この「電波利用料」が役人たちの「共済年金」や「医療保険」などの保険料までに使われているとされる。不正流用されている総額は、1年間で5億1,730万円。本来、役人たちが自分自身の財布から払うべきカネを支払わず、電波利用料を勝手に流用しているのだ。

昨年の秋に、社会保険庁の役人たちが年金保険料を着服していたことが大きな話題となった。このときには舛添要一厚生労働相がTVカメラの前で、「連中には牢屋に入ってもらう」と大激怒していた。総務省総合通信局の役人が、誰に贈ったのかは不明だが、16万円のギフトカード代金や、26万円のレクレーション用チケット購入など、どう考えても“犯罪”としか思えない。社会保険庁の役人たちと同様、総務省の役人たちにも牢屋に入ってもらわなければ納得できない。

そう言えば、「牢屋に入る」はずだった社会保険庁の職員たちは、その後どうなったのか。舛添大臣が吐いたあの言葉は、実行されたのだろうか。

社会保険庁自身の調査によると、同庁職員による「保険料金・給付金の横領」は50件、市町村の年金窓口職員による「保険料金・給付金の横領」は49件に及んでいる。
その被害額は総額で3億4,000万円である。ただしこのなかで、市町村窓口の横領10人に関しては時効が成立していることが判明している。では残りは逮捕され、牢屋に入れられたのだろうか。残念ながらそうではない。全員が「不起訴処分」とされたのだ。

さて、それでは、公表されている被害額3億4,000万円には、どれほどの信憑性があるのか。本当に3億4,000万円なのだろうか。

ご存じの通り、国民が支払った5,000万件の年金記録が消滅しているのだが、当然ながら支払われたはずの巨額の保険料も消えている。5,000万件の内訳は、厚生年金約4,000万件、国民年金約1,000万件。厚生年金の1件あたりの年金不払い額は約45万円。国民年金の1件あたりの年金不払い額は約17万円。単純に計算すればわかることだが、その総額は20兆円にも達する。
20兆円ものカネが消えて失くなっているのだ。

年金問題追及ですっかりお馴染みになった長妻昭氏(民主党)は、これ以外にも社保庁の呆れた不正流用を指摘している。それによると、ゴルフ練習場建設、野球観戦などのレクレーション費用に3兆7,000億円、電算システム投資(天下り利権)に1兆7,000億円、その他職員の旅行、宴会費用を合計すると、不正流用の総額は「約7兆円にのぼる」というのだ。消えて失くなってしまった20兆円と合せて、社保庁の年金だけで27兆円もの巨額が役人たちの懐に入ったことになる。

だが、庶民大衆の血税に群がり、甘い汁を吸う役人、官僚たちの破廉恥行為は、この程度のものではないのだ。


驚異の浪費! 天下りシステムの実態

衆議院調査局が発表した平成18年度(2006年度)の国家公務員の再就職(天下り)の実態がある。

たとえば、財務省から外郭団体に再就職したのは平成18年だけで783人。彼らが天下った外郭団体に対して財務省が拠出した契約額、補助金の総計は3兆1,376億円。天下った役人1人あたりにつき40億円が投入されていることになる。

同様に、文部科学省からは3,271人が天下り、2兆7,844億円が拠出され、経済産業省には2,397人が天下り、1兆6,693億円が支払われている。以下、防衛省2,716人、1兆4,439 億円。国土交通省6,422人、1兆3,470億円。農林水産省2,146人、9,646億円。厚生労働省4,016人、7,637億円……と続き、全省庁を合計すると2万6,676人が天下り、平成18年度だけで総額12兆6,047億円がばら撒かれているのだ。

改める必要もないが、再度記しておく。これは国民が支払った税金から流用されているカネである。

「各省庁で研鑽を積み、優れたノウハウを手にしている役人たちなのだから、天下る必要性もある」などという意見も聞かれるが、それはとんでもない出鱈目である。天下った2万6,676人の半数にあたる1万1,790人は「役員」あるいは「役員待遇」で天下っており、ほとんど仕事などしていない。その平均年収は約1,600万円。しかも5年間何もしないで、2,000万円の退職金を受け取ることになっている。こうした天下った役人たちの多くは、週に一度、ときには月に一度程度しか出社しない。さらに、役員となった彼らは、車での出社を要求するだけではなく、秘書までも必要とする。その費用が嵩むために、各省庁は「補助金」という名目のカネを拠出しているのだ。

ご存じの通り、現在の日本は国債、借入金などを合計すると、およそ800兆円の負債を抱える借金大国である。そうした状況などまるで省みることなく、国民の血税を湯水のように浪費し、自分の懐を温め、挙げ句に「ガソリン税再値上げ」「消費税率値上げ」による税収増を画策しているのが、霞が関の官僚たちなのだ。


日本を支える“優秀な”官僚

年金問題やガソリンの暫定税率問題で、自民・公明の与党と、民主党を中心とする野党が激論を交わしていたが、これらは結局のところ、霞が関の官僚がすべてを動かしていたことが理解できる。

先月末(5月20日)には、首相諮問機関である「社会保障国民会議」が、「年金税方式に伴う消費税率」の試算を発表し、消えた年金記録の問題を見事にクリアできるような発表を行っている。その内容は、現行の「基礎年金(国民年金)」を廃止して年金給付をすべて消費税で賄うという“試算”だった。その試算では、「消費税率を18%に上げれば、年金給付をすべて消費税で賄う」というものだった。その説明に、うっかり納得してしまう庶民大衆もいるに違いない。

これはつまり、年金問題や後期高齢者医療問題などの批判を一気にかわし、財源として消費税を引き上げようとする財務省のプログラムなのだ。騙されてはいけない。財務省は、自分たちが吸う甘い蜜の素を、こんな形で新たに構築しようとしているだけなのだ。消費税率18%も、単なるアドバルーンであって、最終的には10%を「落とし所」と考えての数字にすぎない。この数字は、政治家が計上したものではない。霞が関の官僚が作り上げたものなのだ。

日本の政治を動かしているのは、国会に席を置く議員たちではなく、霞が関に巣食う官僚たちであることは、一部が熟知し、また多くの人々が薄々は理解している。だがそれでも、ここまで酷いものだとは考える者は少ないだろう。

今から14年も昔のことだが、平成6年(1994年)6月に、当時社会党の委員長だった村山富市が首相となり、自社さ連立政権が誕生した。社会党のトップが総理大臣となったのだから、とんでもない激変が起きるだろうと想像する者も多かったが、日本は総体として揺らぐようなことはなかった。村山富市は当時の首相官邸について、こんな言葉を残している。

「ここは籠の中の鳥」――。

首相官邸にいる政治家は、首相、官房長官、そして二人の官房副長官のたった4人だけ。この4人以外に、およそ300人の官僚が首相官邸に詰めている。これら300人の官僚は、すべて霞が関の各省庁から派遣された役人であり、彼らは1~2年もすれば元の省庁に戻ることになっている。従って首相官邸に出向した官僚たちは、自分の出身省庁のためにのみ働いているのだ。官邸にいる4人の政治家たちには、四六時中監視の目が行き届き、密談することもできない。官僚たちは、首相や官房長官の求めに応じて、すぐにあらゆるデータを持参するのだが、そこに自分の省庁の不利益はない。

首相ですら官僚の操り人形でしかないのだ。大臣などそれ以下と考えて良い。

たとえば組閣のときに首相官邸に呼び出された大臣は、そこで初めて、当該省庁が決めていた秘書官と顔を合わせる。大臣に任命されたのだから、当然ながらその担当分野に関しては一定の認識や視野、展望というものを持っている。とはいえ、完璧である筈がない。そこで初顔合わせした秘書官からレクチャーを受けるのだが、そのレクチャーの時間はわずか5分程度である。秘書官から聞いた言葉を丸呑みして、すぐに記者会見に臨む。この会見席上での発言が、この大臣をずっと拘束することになるのだ。つまり、省庁から派遣された秘書官の発言が、その大臣の任期中の言動の元になってしまう。

日本が経済的に発展し、バブル経済の絶頂期を迎えたころに、世界ではこんな言葉が囁かれていた。「経済は一流国家、政治家は三流」――。この言葉のウラには、「日本の政治家は優秀な官僚によって指導されている」という意味合いがあった。

では、ほんとうに日本の官僚は優れているのだろうか? たしかに、かつてはそうだったかもしれない。だが今では、答えを待つまでもない。むしり取れるだけ税金を貪り、自分たちの利益のみを追求する魑魅魍魎の悪鬼集団=日本の官僚たちこそ、この国を滅亡に導く根源なのだ。

彼ら官僚たちは、東大法学部卒の一団を中心とする“超エリート集団”である。この超エリート集団は、「身内の論理」を絶対のものとし、身内、仲間たちが未来永劫の超エリート、唯一の「勝ち組」となることだけに全精力を傾ける。この霞が関官僚に追随して、同様な勝ち組を目指す市町村の役人までが、日本を食い潰す悪魔集団となっているのだ。


滅亡に邁進する官僚

日清日露戦争に勝利した日本は、アジアの超大国となり、大陸に進出して満洲帝国を築き上げた。ここで大手を振って動いたのが軍閥たちだった。軍閥は利権を求め、肥大し、ついには泥沼の日中事変に突入する。国家存亡の危機を演出しておきながら、軍閥はなお自らの利権を追求し、ついには日本をボロボロにして敗戦に導いてしまった。まったく同じことを、今、霞が関の官僚たちが行っている。この暴挙を止められるのは、財界人でも政治家でもない。国民一人一人なのだ。

舛添厚労相が、「連中には牢屋に入ってもらう」と大激怒してみたところで、身内の論理を最優先させる官僚に叶うわけはない。

冒頭に記した総務省関係の「電波利用料」不正流用事件にしても、国会で指摘されたにも関わらずTVで放映されることはなかった。民放は総務省管轄の免許事業であるから、TV各局は報道を自粛せざるを得なかったと考えて良いだろう。

新聞社に対しても、官僚による圧力は行われている。うっかりどこかの新聞社が省庁や官僚の悪口(真実の姿)を書こうものなら、たちまち情報源が断ち切られ、他の各新聞社が入手できるビッグニュースの話さえ、その新聞社にだけは流されなくなる。

国民の目に、官僚たちが日常茶飯事に行っている数々の悪事が伝えられることは、ほとんどない。とくに新聞社、TV局から報道されるようなことは稀有な例でしかない。官僚の真実の姿を伝える情報は、雑誌社系の週刊誌や夕刊紙、あるいはネット情報などに頼るしかないのだが、そこにすら圧力もかかる。税務調査をチラつかされれば雑誌社も腰が砕けることもある。ネット情報などはご存じの通り、ディス・インフォメーションを簡単に掲載できるものだから、信用の度合いは極端に落ちる。

このままでは、暴走する官僚たちによって、日本は食い潰され、滅亡するしかない。

霞が関官僚のトップに立っているのは、東大法学部卒の“学力優秀”な峻才たちである。その彼らが一致団結し、総力を結集させて血税浪費、日本滅亡への道を邁進している。間違いなく日本は今、黒船来航、大東亜戦争敗北を越える最大の危機に直面しているのだ。

この絶体絶命の危機に、思わぬ男が、完璧なまでの分析書を著わして、救国の訴えを行っている。その男とは、元自民党幹事長である中川秀直。本のタイトルは『官僚国家の崩壊』(講談社)である。

中川秀直といえば、権力の中枢で蠢き、森・小泉・安倍、そして福田現政権に繋がる清和研の中心人物である。少なくとも最近10年間の日本の在り様に責任を負うべき、政治権力の中心人物ではないか。そんな人物がいまさら官僚批判など、冗談ではない――。そう感じられる方も多いのではないだろうか。本紙自身にもそうした思いがあったことは事実である。いや、正直に言えば、嘘か真実かは不明なものの、中川秀直に対する誹謗、批判は山ほど入ってきていたこともあり、この政治家に好印象を持つことはなかった。日経新聞社出身の中川は市場経済至上主義を掲げ、竹中平蔵と組んで日本を米国型社会に変質させた張本人ではないのか。小泉改革の名の下で、厚生利権や金融利権を掌中に入れようと水面下で動いたハゲタカの一羽ではないのか――。

5月末の日曜日のことだった。長年抱いてきた中川秀直に対する不満、批判を打ち消すことなどなく、TVで田原総一郎と対談をする中川秀直の話を漠然と聞いていたとき、この政治家が途轍もない話をしていることに気づいたのだ。

「公務員制度を改革するというこの『静かなる革命』は、誰も止めることはできない」――中川秀直はそのような話をしていた。中川秀直という政治家の本質を理解したわけではない。彼に対する疑念が消えたわけでもない。だが熱く語る言葉は、思わず姿勢を正すほどに訴える力を持っていた。

直ちに入手した中川秀直の著書『官僚国家の崩壊』の内容は、正しく救国のバイブルとなり得るものだった。以下にその一部をご紹介したい。


中川秀直『官僚国家の崩壊』を読む

昨年から今年にかけて多発した「隠蔽と偽装」による信頼社会の崩壊。大企業や老舗が持つ病根と同質の病気を日本自身が持つと中川秀直は分析する。「組織内の身内の安全を生み出す行為が、組織外の人の不安をかきたて、組織全体の信頼を破壊しているのだ」(「官僚国家の崩壊」:P18より。以下同様)

そうしたうえで彼は、官僚によって破壊された日本の現状に迫る。

「小泉改革以来の経験から、現在の日本の病根を『官僚対反官僚』という対立軸で見ると本質を見誤ると思っている。日本の抵抗勢力は、一部の業界でも一部の族議員でもない。ましてや単なる官僚機構でもない。日本が抱えている構造問題は、もっと複雑で見えにくい」(P22)

ここで1961年のアイゼンハワーの演説を引用している。アイゼンハワーは大統領職引退のときに、米国に巣食う「軍産複合体」の台頭に恐怖を感じ、それが米国自身を傷め、崩壊させるのではないかと危惧を語ったのだ。

「いま、日本が警戒すべき『複合体』は、もちろん、米国のような軍産複合体などではない。既成の組織、既成の方針、過去の成功体験などを金科玉条とし、学歴に基づく自らの身分に誇りを共有する、官僚機構、日本銀行、経済界、学界、マスコミなど、あらゆるところにネットワークをはる複合体の人脈だ。それは学歴による優越意識に基づく大学同窓などの見えざるネットワークであり、たとえば東京大学法学部出身者を核とするエリート人脈で、彼らはあるときは意識的に、またあるときは無意識的に、巨大なネットワークをつくり上げている。(中略)お互いの身内共同体を尊重し、自分たちの身分の安定を最優先で動く集団、このエリート集団こそ、抵抗勢力の『本尊』である。そう、私が命名するところの『ステルス複合体』だ」(P23)

「最も悲劇的なシナリオは『ステルス複合体』が自滅し、国民が破滅に追い込まれるという筋書きだ。この最悪のシナリオを逃れる道が公務員制度改革である。『ステルス複合体』の中核は、官僚の『身内共同体』なので、公務員制度改革がすべての入り口となるからだ」(P26)

しかしそれでも、役人という者は優秀であり、使いこなすことができれば問題ないのではないか――。そう考える「官僚擁護派」の諸氏のために、中川秀直は次のように語る。

「一般の民間人も、学者も、企業経営者も、行政に関わるときは単独で役所に入ることが多い。みなさん、当初は『役人は優秀です。役人は使いこなせばいいのです』とおっしゃる。これは役人の組織戦の凄まじさを知らないから出るセリフだ。確かに官僚個人は優秀だが、組織戦になると豹変する。その凄まじさを前に、政治家ですら『段取り』のベルトコンベアーにのせられて身動きがとれなくなるのが実情なのだ」(P54)

また中川秀直は、森・小泉・安倍、そして福田現政権に繋がる清和会の中心人物として、最近10年間の日本の在り様に責任を負うべき立場にいる政治家だと考えられるが、これに対しても堂々と語っている。

「官僚派の総理は、一九九三年、宮沢喜一総理が退陣して以来、一五年間登場していない。代わって台頭したのが党人派だ。とくに、二〇〇〇年の森内閣誕生以来、四代にわたって清和政策研究会の政権が党人派の政権として続いている。
 なぜ、四代、清和研なのか――。
 人生に順風のときと逆風のときがあるように、国にも順調なときと逆境のときがある。順風のときは前例踏襲でさして問題はないが、逆風のときは、逆転のチャンスをうかがい、現状を変えていく必要がある。日本の順風の時代を担うのが官僚派であり、逆風の時代を担うのが党人派だ。戦後の占領が終わってからは党人派、高度成長期は基本的に官僚派、そしてバブルのピークに、最後の官僚出身宰相・宮沢喜一さんが担当、逆風の時代となったバブル崩壊後は、党人派の政権が続いている。
 党人派の使命は『官僚には考えられないことを考える』ことだ。役人に知恵をだせ、といっているようでは現状は打開できない。国のトップは、技術的な知識も理解できるが、物事の本質を見る知恵を持っていることが要求される。後に見るように、森、小泉、安倍の各総理は時代の本質を見抜いていた。それは福田康夫総理も同様だ」(P109)

森、小泉、安倍、そして福田首相が「時代の本質を見抜いていた」か否かは異論を唱えた位ところだが、少なくとも中川秀直が彼らを評価するからこそ、この四代の下で「公務員制度改革」を行い続けているのだということは理解できる。


劣化したエリートを叩き直せ

昨秋、「戦後レジームからの脱却」を唱え、公務員制度改革に乗り出した安倍晋三が突如として退陣してしまった。この理由について中川秀直は、「直接的な理由は体調不良にあるが、一国の総理をそこまで追い詰めた原因」として、「霞が関の『反改革サボタージュ』」をあげている。これはまったく同感であり、安倍晋三が手がけようとした公務員制度改革と社会保険庁解体に、霞が関官僚たちは全員が反対し、圧力をかけたと考えて間違いない。

「構造改革の本質的な目的を一言で表せば、『劣化した日本のエリートを叩き直す』である。世界的に見て、日本の庶民は経済的にも教育的にも高い水準にあり、競争力は高い。なのに、日本にはいま、いいしれぬ閉塞感が漂っているのは、エリートの国際競争力が低すぎるからだ。日本のエリートの劣化とは、この一点に尽きる」(P20)

「一部の大企業は官僚機構化して『身内』の論理にとらわれ、顧客と心が離れている。中小企業はアジアとの低価格競争に消耗し、心のゆとりを持てない。それが結果的に偽装や品質の低下につながっているのではないか、と。日本人が心を見失ったもう一つの原因は、戦後一貫して続く金銭的価値観の肥大化である。損得の価値観の肥大化といい換えてもいいかもしれない。これをやれば、金銭的に得か損か、お金だけを基準にして考える日本人が増えている」(P116)

政治経済思想……。あらゆる面で日本が劣化している現状を分析したうえで、中川秀直は「日本の危機の本質」を見極める。

「各国の国民性を表すジョークにこんなものがあるそうだ。『世界最強の軍隊は、英国の政治家、米国の将軍、ドイツの将校、日本の下士官と兵から成る』。ちなみに『世界最弱の軍隊』というジョークには『日本の将軍』または『日本の参謀』が登場する……。
 このジョークの意味するところは、日本の庶民の質は高いが、日本の政治家や、将軍、将校といったエリート層の質が悪い、ということだ。
 しかし、実は、もっとも深刻な問題がある。それは『日本の政治家』のあり方だ。先の大戦の失敗の教訓に、「どんなに第一線の将兵が名人芸をもって巧みに戦っても、戦術の失敗はカバーできない」というものがある。
 今日の日本の閉塞状況について、ある人は、日本の製造業の力や『オタク文化』の力を見よ、もっと自信を持て、と国民を鼓舞する。
 しかし、それは、単に『第一線の将兵の名人芸』を誉めているにすぎない。先の大戦でいえば、ゼロ戦はすごい、戦艦大和はすごい、といっているのと等しい。その陰にある大本の戦術の拙さ、『大戦略』の不在を直視しなければならない。『大戦略』、すなわちグランドストラテジーを担うのは、官僚や軍人ではなく、政治家である。ところが戦前も、戦後も、日本の政治家の『大戦略』発信能力は弱い。

逆風の時代の『大戦略』の不在。ゆえに、逆転のチャンスがつかめない。ここに日本の危機の本質がある」(P162)


劣化しているのは「ステルス複合体」だけか

官僚機構、日本銀行、経済界、学界、マスコミを初め、出身大学、大企業や老舗の名で生きながらえている「劣化したエリート集団=ステルス複合体」を破壊し、生き延びる生命力を持つ日本を再生しない限り、未来はない。

だが、中川秀直が言う「劣化したエリート集団」の中に、政治家も含まれている。中川秀直は、それを理解したうえで口をつぐんだのだろうか。

たとえば5月末のことだが、中国で起きた四川大地震救援の物資輸送ために自衛隊輸送機を使うという話が、一旦は浮上し、後に取りやめになった事件があった。この真相は、どこにも書かれていない。

じつは航空自衛隊輸送機による物資輸送という話は、人民解放軍の外交部から、北京の日本大使館の武官に対し、文書を以って正式に打診された話だった。これを受けた駐中国の武官は、宮本大使の頭越しに市ケ谷の防衛省に連絡。市ケ谷は直ちに実行準備に取り掛かった。ところが、頭越しに交渉を進められたことに対し、日本の外務省官僚が臍を曲げてしまった。「外務省を通しての正式要請ではなかった」として、日本の新聞TVメディアを通して、中国側にその意思がないと報じさせたのだ。いまでもほとんどの日本人は、中国側が自衛隊による輸送を断ったと思っているが、調べればわかることだが、中国側が断った事実はない。

たとえ両国外務省官僚が頭越し要請に臍を曲げたとしても、新聞TVメディアが報じた時点で政治家が動けば、このような事態に陥らなかった。外務官僚はたしかに悪いが、政治家の能力もあまりにも酷い。

同様な話は日朝交渉でも感じられる。

今月(6月)11日、12日に北京で開かれた日朝外務省実務者協議で、拉致問題の再調査と日航よど号ハイジャック事件関係者の引き渡しが話し合われ、これを受けて政府は、北朝鮮に対する一部制裁解除を行うと発表した。

だがじつのところ、米国による「テロ国家指定解除」に向けて、よど号関係者を日本に送還するという話は、すでに昨秋から俎上に上っていたものだ。さらに、中朝関係が悪化し、中国からの食糧支援を望めなくなった北朝鮮は、すでに今年早々から、具体的氏名を出しながら、食糧支援の見返りとして、水面下で拉致被害者の帰国を提案していたと伝えられていた。こうした状況の下であれば、外務省を飛び越えて政治的な戦術を行使することも可能だった筈だが、福田康夫政権はまったく動かなかった。少なくとも福田政権になってからというもの、日本の外交能力は限りなくゼロに近づいており、清和研に所属し、政権に強大な発言力を持つ中川秀直に責任がないとは言えない。

政治家自身の中にも、劣化したエリートたちがいるのだ。それは、与党とか野党といったレベルの話ではない。


日本再生のために

多少批判めいた文章を書いてしまったが、それは中川秀直を貶める意思ではない。『官僚国家の崩壊』という本の中身そのものは、非常に優れていると判断している。日米中3国に対する見解などに関しては、中川秀直が小平時代と同じ視点を持って語っているところからも、わずかに時代遅れという感を否めないが、部分的な批判はともかく、全体としては非常に優れている。

何より、一人の男が政治生命を賭して熱く語っている点が最高の魅力だ。これだけ語ってしまえば、当然ながら「ステルス複合体」から猛烈な批判が起きるだろう。なかには噂のうえに噂を塗りたくった出鱈目な誹謗中傷もあるだろう。真正面からの批判に関しては問題ないのだが、いわれのない誹謗をする者は、断固として拒絶すべきである。

「次の世代のために私は闘う。
私を批判する人は『増税は常に正しい、利上げは常に正しい、規制は増やすべきだ』といい続けるだろう。しかし、そんな政策では、日本は確実に『日沈む国』になる。それでは次代を担う子供たちに申し訳が立たない。
これから中川バッシングは激しくなるだろう。誹謗中傷もいっそうわが身に降りかかってくるに違いない。それでもなお、私は、わが身を投げ打って闘う。日本を再び『日昇る国』とするために」(P280)

われわれもまた、日本再生に向けて立ち上がる必要がある。もはや自民党だ、民主党だといったレベルの話ではない。新聞TVマスコミの飛語に乗ってはならない。

「学歴に基づく自らの身分に誇りを共有する、官僚機構、日本銀行、経済界、学界、マスコミなど、あらゆるところにネットワークをはる複合体の人脈」――。そして、これだけはわれわれが強く認識しておかなければならないことだが、これら複合体に安住する者たちは、国民に対する奉仕者たる義の精神が完全に欠落している者たちであることだ。日本という国を食い潰す、これら複合体こそが、間違いなくわれわれの敵である。

われわれ一人一人がこの敵を認識し、立ち上がるときが来たのだ。中川秀直という政治家、久しぶりに腹の据わった、義のある政治家と見ているのだが……。■

行政調査新聞社 国内展望 2008年6月 社主:松本州弘より

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