後期高齢者医療制度 『天引き』『督促状』で混乱より後期高齢者医療制度 『天引き』『督促状』で混乱
今年4月から75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度が始まった。運営は都道府県ごとにつくる広域連合が行い、国民健康保険や企業の健康保険組合加入者は75歳になると脱退し、新たな保険証が支給される。開始当初、新しい保険証が対象者になかなか届かなかったり、保険料の年金からの天引きが周知されていなかったため苦情や問い合わせが殺到し、自治体の窓口は大混乱した。
さいたま、川越、所沢など県内7市は徴収システム構築の遅れなどで天引きを10月15日からとしているほか、社会保険の扶養家族で免除対象だった高齢者の年金天引きも同日からとなるため、再び窓口での混乱が予想される。
「後期高齢者医療制度は年金から天引きになるんじゃないの」
九月中旬、さいたま市の十区役所の保険年金課の電話は、高齢者からの問い合わせが相次ぎ、つながりにくくなった。
同市は保険料の年金からの天引きを半年間延期し、七月から徴収を始めた。被保険者約八万五千人に通知書を送付。七月−九月の三回分の保険料を金融機関で納付するように明記した。ところが納付期限が七月末だった一回目は、約二万六千人が未納。九月十六日付で督促状を送付した。
「この世代の国民健康保険当時の未納率は約5%。未納の多さは払いたくないというより、周知不足が原因。ただ市では督促を出して、制度を理解いただくしか手がない」
市担当者はそうつぶやく一方、九月中旬になって制度の見直しを唱え始めた舛添要一厚労相に困惑を見せた。
「今さら制度が悪かったと言われても、この制度のため毎日十時、十一時まで残業してきた我々も立つ瀬がない。十月十五日から年金天引きが始まると『見直すのになぜ天引きするのか』と苦情がきっと来る」
三日、同市浦和区役所の窓口を訪れた無職の女性(76)も「舛添さんは今は選挙があるからいいことを言うのかもしれないが、まったく信用できません」と冷ややかに言い放った。
所沢市は八、九月、被保険者約二万三千七百人のうち、七、八月分の滞納者計約七千五百人に督促状を送った。目が不自由な夫(76)の代理として、所沢市福祉総務課の窓口を訪れた主婦(70)は、二カ月分の督促状が届き、問い合わせと手続きとで来庁は二回目。「国が勝手に別の保険制度に移しておいて、徴収しに来るのが筋。十分な説明もなく、本当に腹が立つ」と憮然(ぶぜん)とした様子。
川越市は七、八月分で計約七千二百五十通の督促状を発送。その直後には、八回線ある同課の電話は鳴りっぱなしになったという。
同市笠幡、板金職人篠原光子(みつね)さん(84)は「手取り約三百六十万円の年収で、保険料は妻(80)と合わせて約三十七万円。介護保険や医療費も払わなくてはならない。これでは生活していけない。政府は『年寄りは長生きするな。早く死ね』と言っているようなもの」とまくし立てる。
一緒に窓口を訪れた長男正夫さん(60)は「職員から『世界の保険料はもっと高く、日本はましな方』と言われたが、この制度は絶対に間違っている」と憤りを隠さなかった。





