川越・一家3人死傷 『愛情注いでいたのに』 障害抱えた一人息子より川越・一家3人死傷 『愛情注いでいたのに』 障害抱えた一人息子
川越市藤間の無職福島忠さん(56)が十日、妻のきぬ衣さん(53)と長男の正大さん(27)を殺害し自殺を図ったとみられる事件で、一家を知る人たちの話からは、障害を抱える一人息子の正大さんに愛情を注ぐ忠さん夫婦の姿しか浮かんでこない。一家に何があったのか。川越署は入院中の忠さんから事情を聴くなどして、惨劇に至った原因の解明を図る。
「あの時もう一声かけていれば、止められたかもしれない」。前日の九日に忠さんと電話で話した障害者ケア施設「ほっぷ」の石川容子所長(65)は悔しがる。
石川所長によると、同施設に通う正大さんは明るく音楽が好きで、人気者だった。忠さん夫妻は正大さんが参加した施設の旅行先にまで訪れるほど、一人息子に愛情を注いでいたという。
八月三十日には、川越市南文化会館で施設などが参加した発表会があり、正大さんは歌に手話を交えながら、ステージで懸命に練習の成果を披露。観客席では忠さんときぬ衣さんが息子の晴れ舞台を見ていた。忠さんは「まさひろー」と大きな声で呼び掛け、手を振っていたという。
しかし、正大さんは九月一日から五日まで「家庭の都合」を理由に通所しなかった。休日を挟み、八日には、忠さんから「熱があるので休ませます」と電話。翌九日にも「まだ熱が引かない。二、三日休ませる」と再度連絡があったという。
近所の主婦(70)によると、きぬ衣さんは毎朝、ケア施設の送迎バスに正大さんを乗せ、近所の人に明るくあいさつしていたという。主婦は「義理堅く、とってもいい人だった」と話す。隣に住む男性(62)は「悩んでいるようには見えなかった。きぬ衣さんは献身的で、家族の仲もよかったのに」と驚いた様子だった。





